読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

ちんずー劇場

日々の出来事で面白かったことや不思議に思ったこと、たまに物語的なものも書こうと思ってます

花粉と友達になる

f:id:kennedyamamoto:20170327235646p:image

 こんにちは!みなさんは花粉症で苦しんでいませんか?
私の名前は、ちんずー。埼玉県在住、好きな動物はカバと猫。ゴリラは仲間。

f:id:kennedyamamoto:20170331135214j:image

 

悩める花粉症もちの一人です。この記事は、花粉と仲良くなることによって花粉に対する憎しみをなくそうという試みを物語にしたものです。

 

 

 

昨今、私の鼻は存在感を増していき、目は赤く、ひどい時は微熱になる。

「だから春は嫌いなんだ。」

ついつい、独りごちてしまう。全部、杉のせいだ。杉が悪い……。

 

そこでふと、気づいた。

杉は、なにか悪いことをしただろうか。

・・・何もしていないのではないか。彼らは彼らの生命活動をしているに過ぎない。

私は、杉の何を知っている?・・・何も知らない。

そもそも、彼らはどんな顔をしているんだ?私は彼らの顔を見たことがないことに気づいた。
そこで私は『杉花粉 顕微鏡』でネット検索をした。画像は大量に出てきた。

f:id:kennedyamamoto:20170326155108j:plain

東京都健康安全研究センターホームページより引用)

 

・・・お?若干卑猥に見えなくもないが、予想外に可愛らしい。

これは興味がわいてきた。彼らのこと、もっと知ることはできないか?
彼らを知って、仲良くなれば、嫌わなくていいかもしれない。


~花粉と友達になろう~

一度友達になってしまえば、なかなか嫌いになることは出来ない。「友達になること」、それは花粉症ストレスからの解放の糸口に思えた。


まず、どこに行けば花粉と会えるのか?

私は現在埼玉県に住んでいるが、埼玉歴4年目と日が浅い。埼玉県のどこになにがあるか、正直全く分からない。そこで、埼玉県出身の友人に尋ねた。

私「どこに行けば杉があるか知ってる?」

友達「え?なにするの?」

私「いや、杉花粉集めたくて。」

友達「なに?なんか怪しい宗教にでも入ったの?」

驚いた。花粉を集める宗教団体などあるだろうか。何に使うというのだ?拷問に使うくらいしか思い浮かばないが・・・。
こう考えてしまうあたり、私はまだ花粉に対してマイナスイメージを強く持っているようだ。


よし、あそこに行こう。あそこなら絶対に杉がある。

私が向かったのは、実家がある山梨県南アルプス市だ。アルプスという名前の通り、豊かな自然に囲まれた地域である。ここならどこに杉が生えているか把握している。杉に会うために帰省した。

 

それではいざ、花粉に会いに行こう!!

f:id:kennedyamamoto:20170326162117j:plain

 

歩くこと数分、目的地に着いた。

 

f:id:kennedyamamoto:20170326162354j:plain

 

神社だ。私の花粉症はここで育てられたと言っても過言ではない。ここには杉がたくさんいる。

 

f:id:kennedyamamoto:20170326162747j:plain

 

うわあぁぁ~

・・・いる。

 

f:id:kennedyamamoto:20170326163523j:plain

 

 あ~~いるいる。

いすぎなくらい、いる。

 

 

f:id:kennedyamamoto:20170326163658j:plain

  

はい、捕獲。そして家に帰って来た。

 

私「今日はよろしく。わたしはちんずー。」(以下、ちんずー)

杉花粉「僕は杉花粉のスギーだよ。よろしく。」(以下、スギー)

f:id:kennedyamamoto:20170326163151j:plain


固い握手を交わして、会話はスタートする。

ちんずー「今日は、スギーと友達になりたい。スギーのことたくさん知りたいんだ。」

スギー「OK、なんでも聞いてよ。」

 

ちんずー「じゃぁ、自己紹介からお願いしようかな。」

スギー「杉と人間は、奈良時代からの古く長い付き合いなんだよ。現在は、日本の国土面積( 3,779万ヘクタール)の約7割を森林面積(2,508万ヘクタール)が占めていて、そのうち、人工林面積は、1,029万ヘクタールで、森林面積の約4割を占めてるよ。その中の、杉人工林は、448万ヘクタールで、森林面積の18%、人工林面積の44%にもなるんだ。」

 

ちんずー「スギー物知り過ぎない?日本人と杉には長い歴史があるんだね。それにしても予想以上の多さでびっくり。日本は人工林が多いんだね!」

 

スギー「杉はね、加工がしやすくて成長がとても早いんだ。30~40年で立派な木になるんだよ。僕たち杉が、どどーんと増えるきっかけになったのは、第二次世界大戦後だよ。当時は戦後復興でたくさんの材木が必要だったんだ。そこで着目されたのが、僕たち杉やヒノキってわけ。1957年から『拡大造林計画』って言うのが始まったんだよ。」

 

ちんずー「へー!」

スギーは思いのほか、ガンガンくるタイプのようだ

 

f:id:kennedyamamoto:20170327231936j:image

ちんずー「でも、拡大造林計画で植林されても、30~40年経って立派な木になったら資源として利用するために伐採されるから、杉の数は減っちゃうんじゃないの?」

 

スギー「そうはいかなかったんだよ。悲しいことに、だんだん、僕たち杉の需要はなくなっていったんだ。それまでの戸建ての家の軸組構法は杉材が利用されていたんだけど、プレハブとかが使われるようになった。また、鉄骨や鉄筋、コンクリートを使った集合住宅の建設も盛んになっていったんだ。」

 f:id:kennedyamamoto:20170327233001j:image

ちんずー「なるほど・・・。」

 

f:id:kennedyamamoto:20170327232058j:image

スギー「それまで建築の足場に使われていた杉の丸太も鉄パイプに変わっていったんだ。こんなことがあって、杉の需要はなくなっていって、杉の価格も暴落したんだよ。それと人件費が高騰したことによって、杉を伐採すればするほど赤字が増えていくようになったんだって。そうやって僕たち杉は増えていったんだ。」

 

ちんずー「・・・そうなんだ。スギーたちにとって、伐採されないのなら、子孫の数は増えていくわけだから好都合なんじゃない?」

 

スギー「それが、そうでもないんだよ。伐採やお手入れをされないとなると、いろんなことが起きる。放置され、密集した杉たちは枯れちゃったりするんだ。そのほかにも、土砂流出といった自然災害も起きるんだよ。」

 

ちんずー「そうなんだ・・・。」

スギー達は、私達のエゴで苦しんでいた。

 

 

スギー「僕達が増えたことによって、人間も困っているでしょう?『花粉症』っていうんだよね?僕、知ってるよ。」

ドキッ

f:id:kennedyamamoto:20170327233156j:image

スギー「この時期になるとその白い布を口のあたりにつけてる人間をよく見かけるんだ。ちんずーも、花粉症なんでしょ?」

スギーは物知りなのにマスクのことは知らないようだ・・・

 

 

f:id:kennedyamamoto:20170326170752j:plain

 

 

ちんずー「仲良くなりたいとか言っておいて、壁を作っていたのは私の方だったね。」

スギー「ちんずー・・・。」

 

私達の前にある壁(マスク)を取り払う。

 f:id:kennedyamamoto:20170327232140j:image

 

ハラリ・・・

 

 f:id:kennedyamamoto:20170327232153j:image

 

 

 

f:id:kennedyamamoto:20170326170147j:plain

 

 

 

スギー「・・・・・・。」

ちんずー「・・・・・・。」

 

 

スギー「・・・えーと、さっきの話の続きなんだけど、」

ちんずー「ズビィィイイイイイイ!!!」f:id:kennedyamamoto:20170327232322j:image

 

スギー「だ、大丈夫?ちんずー。」

ちんずー「ごめんごめん。大丈夫!続けて。」

スギー「うん!でね、」

ちんずー「ズバァアアアアアアアア!!!!」

 f:id:kennedyamamoto:20170327232345j:image

スギー「あの、」

ちんずー「ズバシュッッ!!!!」

 f:id:kennedyamamoto:20170327232400j:image

 

スギー「・・・・・・。」

ちんずー「・・・・・・。」

 

 

〜そして、お別れの時〜


ちんずー「スギー、また会えるかな?」

スギー「会えるよ。埼玉まで飛んでいって、ちんずーの鼻をくすぐりに行くよ。」

ちんずー「あはは!勘弁してよ。」

スギー「・・・じゃあもう行くね。」

ちんずー「うん、またね。」

 

f:id:kennedyamamoto:20170326164403j:plain

 

ビュウッ
強い風がふいた。

 

f:id:kennedyamamoto:20170326164537j:plain

 

ちんずー「スギー・・・ありがとう。」

スギーは風に乗って旅立って行った。

  

 

 数日後、私は仕事に向かうため都内を歩いていた。

はっくしゅ!

くしゃみをした瞬間、スギーの声が聞こえた気がした。
「ちんずー!行ってらっしゃい!」

 

 

 

スギー、私がんばるよ。

次の休みは、緑がいっぱいの公園にでも出かけようか。


ー春も悪くない。

 

 

 

終わり

  

 

 

 

 

 あとがき
最近では花粉の少ない杉の植林が行われていたり、放置されている杉をお手入れする地域グループやNPOの活動もあるみたいだ。

スギーと友達になれたかは微妙だが、杉と人間がどちらとも気持ちよく過ごせる社会になればいいのにと思った。

スギーに愛を込めて。

f:id:kennedyamamoto:20170327233836j:image

 (地面に落ちたスギー)

 

 

 

【参考にしたもの】

林野庁ホームページ

東京都健康安全研究センターホームページ

・『スギ林はじゃまものか』著者:山岡寛人さん 2007年発行

・『花粉症がラクになる』著者:赤城智美さん・吉村四郎さん 2011年発行