ちんずーは生涯学習

日々の出来事で面白かったことや不思議に思ったこと、たまに物語的なものも書こうと思ってます

Gの再来

Gとは重力じゃない、GOKIBURIのGだ。

 

私とGのファーストコンタクトは去年。

私は今年で一人暮らし9年目になるが、幸いなことに8年目まではGと出会わなかった。

 

2人の出会いは夏、部屋の暑さに辟易していると、ふと天井近くでなにかが動いた。

 

え?黒…もしかしてアレ?アレ?もしかして?

メガネメガネ…メガネないメガネない…あった(スチャ)……あぁうわ〜…触覚なが!あ、やべ見失った見失った

…………いなくなった。

 

という感じだった。この目でハッキリ見たので、幻では片付けられなかった。私の部屋には、Gに対抗する術が皆無だったので、翌日ホームセンターでホウ酸団子いっぱいと、ゴキ◯リホイホイ、ゴキジェットを買った。

Gに関する商品をしこたま買ってしまい、店員さんがお会計してくれてる間が恥ずかしかったため、「出ました。」と私は店員さんに言った。一目瞭然である。

 

家に帰った後、部屋の掃除をした。いつGが出てきてもいいように身構えていた。ホイホイは、冷蔵庫の下と押入れに仕掛けた。ホウ酸団子はいっぱいあったので、部屋の4隅だけではなく、台所の流しの下や、ゴミ箱の近くに置いた。ホウ酸団子によって結界をはると、少し安心感が出てきた。

 

気合いは入れたが会えない日は続き、Gが過去の人になろうとしていた頃、その時は来た。お風呂上がりで座椅子に座っていた。立ち上がって飲み物を取りに行き、再び座椅子に座ろうと目をやった時、座椅子の腰あたりの生地のたわみ部分にGがいた。

確実に目があった。

私はひどく冷静に、サッと体の向きを変え、玄関に置いてあるゴキジェットを取りに行った。そして、素早くGの元に戻った。

 

私はこの一週間、Gのことを調べ上げていた。奴らは危機を感じたら飛んでくる。背後からの攻撃には逃げやすいが前からの攻撃には弱い…。

勝負は素早く、奴と目があっている今だ!

 

「やあ!」と言っている気がしなくもない、目がつぶらな気もしなくもない。だが、同情は出来ない。世の中に不浄の者として名が知れ渡っている以上、私は彼らを殲滅しなければいけない。

私は非情かつ冷静に、最小の動きでゴキジェットを十分過ぎるほど吹きつけた。そして、少し苦しんだのち、Gは死んだ。

Gは裏返って死んでいた。あ、やっぱキモいわコイツと思って亡骸を捨てた。

私の一週間戦争は終わった。職場に行き、何人かの人に報告すると、「一匹いると数十匹いるらしいよ。」と言われた。確かにそれは通説だが、私は見たものしか信じない。もういないったらいないし、ホウ酸結界がはられている我が家に死角なし。

 

それから一年後……

 

朝起きてシャワーを浴びようと風呂場に行ったら、浴槽に黒いのがいる。ーーアイツだ。

持ち前の火事場の冷静力を発揮して、一年ぶりにゴキジェットを手にする。

風呂場に即座に戻り、相手をみる。目は合っていないが、横を向いている状態…こんな密室で飛び回られたらたまったもんじゃない!やはり勝負は一瞬…南無三!!と思って、景気良くかましてやった、ジェットを。

するとどうだろう、全く手応えがない。確かにジェットを受けてはいるが…動かない……

コイツ……既に死んでる…!!!

驚いた。私は考えた、なぜ風呂場で力尽きていたのか。そして、ここである仮説を考えた。

 

一年ほど前に、Gについての知識を得ていた時、ホウ酸団子の役目のことを知った。

ホウ酸団子を食べると、喉が渇いて渇いてどうしよもなくなって、水を求めて家の外に出て、そこで力尽きるそうだ。なかには、外まで出れず水場で息絶えることもあるらしい。甚だ迷惑である。

ちなみにホウ酸団子には、Gが好きな成分が入ってるので、逆にGが寄ってくるという説もある。諸刃の剣だ…と思った。

 

とにかくここで考えられる仮説は、ホウ酸結界によって水を求めたGは風呂場で力尽きたってこと。片付けるのが面倒だった為、ホウ酸団子は一年間結界をはり続けていたのだ。確かめることはできない、Gはもうこの世にいないし、Gとは話すことも、心を通わせることも出来ないのだから。

 

私は部屋の暑さに毎朝脱水症状を起こし、Gはホウ酸結界で脱水症状を起こす。

この妙なシンクロに対して言えることはただ一つだけ

 

 

勘弁してください。